2010年のNHK大河ドラマで一世を風靡した福山雅治の『龍馬伝』。
そこで、龍馬の初恋の相手として描かれた 広末涼子演じる平井加尾(l838〜1909年) が愛した庭園が高知市神田に現存しています。加尾の夫、西山志澄 (1842〜1911年)がかつて隠棲し、晩年の一時期に共に暮らした場所で、家屋は改築されているものの、モクレンや桜などが植えられた広大な庭はほぼ当時のままの形で伝えられています。
鷲尾の秀峰が巡る吉野の地は山桜の名所として讃えられる吉野。この地は、日本の歴史を紡いできた有志たちも縁があり、この地自身に何らかのフォースが宿っていると考えずにはいられません。
この庭園は、関が原の合戦に破れた西方の軍帥、遠藤遠江守義範が土佐に落ちのび、この地に居を構えたのが始まりと伝えられています。去る370年前のことであります。江戸時代には土佐藩主山内家の奥座敷とされ、明治維新当時は板垣退助らがこの庭を望む一室で参謀をめぐらしたとも伝えられています。
庭の中心には高さ3メートルの巨石、その脇を桜、紅葉、松などが樹齢を競っています。主庭の広さ約六百六十㎡だが、小川家が買い求めるまでは荒れ放題でほとんど自然に帰っておりました。その後、手入れの甲斐あり、ようやく庭としての息吹を取り戻し、雅やかな風情がただよう現在の佇まいとなりました。